双子育児 いつが一番大変?

双子育児

約7年に及ぶ不妊治療を経て双子を出産した気象予報士の関口奈美です。
仕事と不妊治療の両立、大量の自己注射、そして何より出口の見えない辛さ・・・。
それに比べれば双子育児は大変ではないと思っていました。でも、そうではありませんでした。
私と同じように双子育児が大変でネット検索した結果、このブログに辿り着いた方もいらっしゃると思います。私の経験談が、どなたかの心の癒しや明日からの活力につながったら嬉しいです。

双子育児の大変な時期ランキング


正直、それぞれの時期にそれぞれの理由で大変なことが現れるので、常に「今が一番大変」と思いながらの育児です。ただ、そんな中でも0歳から2歳までを振り返り、1番大変だったなと思った時期をランキングでお伝えします。

1位 新生児期

新生児期の3時間ごとの授乳は、1人育児でも辛いもの。それが双子となると負担が倍増します。私の場合は、36週に入ってすぐに急遽出産することになりました。心の準備ができていないまま出産し、そのまま育児スタート。アメリカでの出産だったので、母乳育児についても英語で聞くことも難しく、「きっと早く出産したし母乳は出ないだろう」と早々から諦めモードになってしまっていました。「初めは出なくても、母乳をあげればあげるだけ出るようになる」ということを言ってもらいたかったです。一方で、母乳をあげたいという気持ちはあったので、搾乳をし、少ない母乳を2つに分け、双子に飲ませるように3ヶ月くらいは努力しました。
つまり、3時間ごとに「ミルクを作って飲ませる」「搾乳する」「哺乳瓶の除菌と搾乳機の掃除」「オムツ替え」ということをしていました。新生児はミルクを飲むのもゆっくり。飲みながら途中でウトウトしてしまうこともあり、飲み終わるまでに時間がかかります。その後、ゲップをさせるために背中をトントンしなくてはなりません。搾乳は20分ほどかかります。搾乳機のパーツが多く、洗うのも毎回面倒でした。未熟児で生まれたので身体が小さく、ちょっと力を入れたら骨折でもしてしまうのではないかと不安になり、オムツを替える際もビクビクしながら替えていたので時間がかかってしまいました。
そうこうしていると、2時間くらいかかってしまい、1時間ほど仮眠をとって、次のミルクの時間が来てしまうという日々でした。とにかく睡眠不足という点でキツかったです。
すでに育児を経験している方や、母乳のみで搾乳の必要がない方、サポートしてくれる人の有無などで大変さの度合いが変わってくるかと思います。ただ、母乳のみだと代わってもらうことができないですし、実家のサポートがあったとしても全てを頼るわけにはいかないですし、いずれにしても大変なことには変わらないですね。双子がしばらく入院する場合もあるかと思いますが、それはそれで母乳を届けるなどの負担が生じます。どのようなシチュエーションであれ、新生児期は大変だと思います。

2位 生後8ヶ月以降(保育園に入園して1ヶ月後〜)

私は双子をアメリカで出産し、双子が生後4ヶ月の時に日本に帰国しました。気象予報士として働いてきましたが、アメリカにいる2年半ほどブランクを作ってしまったため、少しでも早く仕事復帰したいという思いがあり、保育園に預けることを決意。双子育児があまりにも大変だったため、育児から離れる時間が欲しかったのも正直なところです。そこで双子が生後7ヶ月の時に保育園にお世話になることにしました。1週目は1時間半。2週目は3時間、3〜4週目が6時間と、1ヶ月ほどの慣らし保育を経て、生後8ヶ月から通常保育となりました。慣らし保育の期間は風邪を引かなかったのですが、通常保育になってから風邪やさまざまな感染症にかかり発熱することが増えました。双子を小児科に頻繁に連れて行かなくてはならなくなりました。小児科はいつも混んでいて待ち時間が長いです。さらに、双子のうち1人は、寝ている時に鼻水が喉に落ちると咳き込みます。咳き込みが激しいと、嘔吐することもしばしば。寝ている時の嘔吐だと窒息の危険があるため抱っこをしてあげるのですが、マーライオンのように激しく嘔吐し、部屋に嘔吐が飛び散ります。着替えさせた後、シーツなど大量の洗濯をしなくてはなりませんでした。離乳食も普段は1つのスプーンで2人に食べさせてしまうこともありましたが、風邪をひいている時はそれぞれのスプーンであげるようにしたため、細かな負担も増えました。そして最後は私も風邪をもらってしまうのです。双子育児による慢性的な睡眠不足に加え、自分の食事の時間がなかなか取れなかったこともあり体重が大幅に減少し、免疫力が低下していたのだと思いますが、双子の風邪をもらいやすくなっていました。どんなに自分の体調が悪くても育児を休む時間はありません。双子が同時に風邪を引くというよりは、時差で体調が悪くなることが多く、1週目はお嬢、2週目は坊っちゃん、3週目は私というように、1ヶ月のほとんどが誰かしら体調不良というような状況が数ヶ月続きました。さらに、私は1回風邪を引くと3週間ほど咳が止まらなくなるという症状に悩まされました。治った頃には次の風邪をもらってしまう。私は全国各地で気象講演を行なっているのですが、90分ほど1人で喋り続ける必要があります。声が命なのに、講演会の時に限って風邪がうつってしまう・・・。本当に大変な時期でした。

3位 1歳半以降

イヤイヤ期が始まってきてしまってからは、これまでスムーズだったことも時間がかかるようになりました。これまではすんなりできていたオムツ交換も、嫌だと言って逃げ回る。着替えも嫌がり、パジャマを脱ぐのを全力で抵抗するようになりました。こだわりも強くなって、晴れていても傘を持ちたがるようにもなりました。双子同士でおもちゃの取り合いのケンカも増えました。家事の間にYouTubeの動画を見せるようになったものの、見たい動画が異なるため、二人がおとなしく見てくれる動画選びにも困りました。
また、食事の時間もストレスでした。発達を促したいという思いと、そもそも2人に離乳食を食べさせてあげる時間的余裕がなかったこともあり、食事は自分たちで食べてもらう形式にしていました。スプーンとフォークを渡しましたが、使ったり使わなかったりで、つかみ食べの方が多かったと思います。いずれにしても食べこぼしが多く、わざとお皿をひっくり返すこともありました。1人がわざとお皿をひっくり返すと、もう1人が真似をしてひっくり返すという悪循環もあり、後片付けが毎回大変でした。
さらに、1歳半を過ぎると坊っちゃんは走るようになりました。双子を外で遊ばせる時に、2人が違う方向に興味を持って進んでいくことが多いのですが、坊っちゃんが走るようになり、より監視が困難になりました。

双子育児 いつまで大変?

2歳1ヶ月の現在、まだまだ大変です。ただ、楽になったこともあります。

まだ大変なこと

イヤイヤ期は続いており、オツムを替えるのもパジャマから洋服に着替えるのも一苦労です。ただ、個人差があり、坊ちゃんは比較的スムーズです。おもちゃの取り合いもあります。家事をしている間に一人遊びをする時間が短く、すぐ「ママ〜」と私を呼ぶため家事が進みません。保育園に預ける際、坊ちゃんは「ママ抱っこ〜」と言って泣きます(朝だけ泣くようです)。お嬢も走るようになり、2人を外に連れていく際は安全確保だけで疲れます。

楽になったこと

一方で、楽になったこともあります。

風邪を引かなくなった

全く引かなくなったわけではないのですが、滅多に風邪を引かなくなりました。保育園に入園してからの1年間は「世の中にはこんなにも病気の種類があるのか」とびっくりするくらい様々なウイルスに負けました。しかし、1年経った頃から「あれ、そういえば保育園に毎日通えている」と気づいたのです。
この負担が減ったことが何より大きいです。最初の頃は、私が0歳から保育園に預けると決めたせいで、こんなにも小さい子に大変な思いをさせてしまった・・・という罪悪感もありました。もし同じようなことを思っている保護者の皆様「大丈夫です」!1年後のお子様はびっくりするくらい強くなっています。

意思疎通ができるようになった

完全ではないものの、私が伝えたことはほぼ理解してくれるようになりました。喋りも徐々に上手くなり、思いを伝えてくれるようになりました。私の双子の場合は、坊ちゃんの方が言葉の発達が早く、そのためイヤイヤの頻度も少ないように感じます。一方で、お嬢の言葉を完全に私が聞き取れないこともあり、「伝えているのにママが理解してくれない」ということでイヤイヤしてしまうことがあります。

良い意味で適当になれた

初めての育児が双子だったため、不安だらけでした。2人いると意識しなくても比較できてしまうため、「こっちの子はもう○○しているのに、まだこっちの子はできない」「身長の伸びが全然違うけれど、低身長の心配はないのか。疾患が隠れていないか」などと勝手に心配事を作っては、夜な夜なネット検索し、さらに睡眠不足になるという生活でした。
でも、今は比較して心配するようなことはなくなりました。とにかく個人差が大きく、心配しなくても時間が経てばできるようになるということを実感したからです。

ちなみに、私は双子ママさんに出会うたびに「いつになったら楽になりますか?」と聞いています。すると3歳になるとだいぶ楽になり、「可愛い」と思える余裕ができるようになったとおっしゃる方が多いです。私自身、1歳の時よりは2歳の今の方が少し余裕ができるようになったので、きっと3歳はさらに余裕ができるようになるのかなと楽しみにしています。

大変な時期を少しでもラクにする方法

もし、もう一度新生児期からやり直せるならば、もう少し楽に育児ができたと思います。双子育児の物理的負担は避け難いですが、精神的負担を減らせたと思います。

無駄な心配をしない

幼い頃の個人差はとても大きく、素人が心配してネット検索をするのは時間の無駄でしかありません。本当に不安なことは小児科などのプロに相談し、家でそれ以上ネット検索をするのはやめた方が良いです(ブログを書いていて矛盾していますが笑)。その時間を目の前にいる双子に使えばよかったと後悔しています。2度と同じ時期には戻れません。今しかないその時々の可愛さを逃すことなく向き合ってほしいと思います。

思い通りにいかなくて当たり前と考える

育児の何がストレスかを考えた時、やらなくてはならないことがあるのに子供のことで中断しなくてはならず思い通りに行動できないことが大きいことがわかりました。仕事ならば、自分のタイムスケジュール通りに物事を進められたのに、育児はそうはいきません。
食べこぼしをやめてほしくても簡単にはできるようになりません。食べこぼしを掃除している最中に、子供が通って踏んでしまい汚れを拡大させる・・・。食器を洗いたくても「ママ〜抱っこ〜」と言って進まない。洗濯機を使うため洗面所に行くとママを呼びに来る。
「今これをしたい」と思うことをその瞬間にできる方が奇跡くらいに思って、思い通りにいかないことが当たり前と考えるといいかと思います。それが難しいのですけれどね。

年収3000万プレイヤーと思いこむ

育児は仕事と違って報酬がなく、どんなに頑張っても評価や賞賛が得られず孤独です。お散歩中にコーヒーを買おうと思っても「今私は稼いでいないから買うのはやめよう」と思うこともありました。でも、よく考えてみれば、2人の命を守るために365日24時間休みなしで気を遣っています。夜中に子供が泣けば対応をするという点では、常に当直しているようなものです。仕事ならば1人でトイレの個室に入って用をたせますが、双子育児だと双子が個室に入ってきたり、双子の無事を確認しながら急いで用をたす必要があったりでゆっくりできません。食事の際もキッチンに立ったままサッと食べるくらいしか時間のない時期もありました。
そんなとき、ふと「育児って年収3000万円くらいの大変さだよね」(←勝手な指標です笑)と思うようになりました。それからは躊躇せずにカフェやコンビニでカフェラテを買ったり、スーパーに行った時に自分用のスイーツを買ったりするようになりました。自分で自分を高評価し、息抜きをすることで少し楽になった気がします。

まとめ

寝不足の新生児期、保育園入園による感染症続き、イヤイヤ期、2人が別々に走り回る中での安全管理などなど、それぞれの時期に新たな大変さが訪れます。7年も子供を願っていたのに、なんで私は今こんなにもストレスを感じるのだろうかと自分でも不思議なくらいです。ただ、2歳になってようやく「可愛い」と思える余裕が出てきました。この先も、またそれぞれの人生のステージで新たな心配事が発生すると思いますが、それも今目の前に子供がいるからこその悩みです。そのことを忘れず、今日も2人の命を守っていきます。