
2歳双子を育児中の気象予報士です。
子供に教えたくなるお月見の豆知識をご紹介します。
十五夜と中秋の名月の違いって?
まず十五夜は旧暦の毎月15日の夜のことを指します。中秋の名月は旧暦8月15日の夜に見える月のことです。十五夜の月と、中秋の名月はほぼ同じ意味で使われています。
中秋の名月は満月とは限らない?
中秋の名月が満月とは限りません!その理由には暦と天文学の 2 つが関係しています。
【暦】 旧暦は月の満ち欠けをもとにした暦で、1 か月は約 29 日。
新月を朔日(ついたち)として、満ち欠けの半分くらい 14 日~15 日が満月にあたります。
【天文学】 普通、満月は天文学的な意味をいいます。
満月は地球からみて、月が太陽の反対側になったときです。
次に中秋の名月と満月が重なるのはいつ?
2025年は、中秋の名月が10月6日でしたが、満月となったのはその翌日でした。
2026年もズレが生じ、中秋の名月は9月25日ですが、満月は9月27日になります。
2027年、2028年、2029年も1日ズレてしまい、この先中秋の名月と満月が一致するのは、2030年の9月12日となりそうです。
スーパームーンとは?
実は定義がない!
国立天文台によれば、「満月」という言葉には、「月と太陽の視黄経の差が180度になった瞬間の月」という定義があるのに対し、「スーパームーン」という言葉には、はっきりとした定義がないと述べています。ただ、多くの人は「大きな満月」というざっくりとした認識を持っているのではないでしょうか。
実際に、気象情報でもその年に最も大きく見える満月を「スーパームーン」として紹介することがあります。
月までの距離から計算すると、最大の満月は、最小の満月に比べて、直径で約14%、面積で約30%大きくなります。
ちなみに、2025年の場合は11月5日が、地球から最も近い位置で満月になる日です。
実際は、最も遠い満月と並べて比較できるわけではないので、その大きく見えることや明るさを実感できないかもしれません。
むしろ、月が地平線の近くで見られる時の方が、目の錯覚によって大きく見えるのではないでしょうか。
親子実験アイデア:
- 紙に穴を開ける(直径5mm程度)
- 腕を伸ばして穴越しに月を見る
- 地平線近くと高く昇った時で比べる
穴越しに見ると周りの景色が見えないので、錯覚が消えて同じ大きさに見えることが分かります。
なぜ月の色は変わるの?
「今日の月は赤いなあ」と思ったことありませんか?月の色が変わるのは大気による光の散乱が原因なんです。
月が白く見えるとき
月が高く昇っているときは白っぽく見えます。月の光が通過する大気の層が薄いため、ほとんど色が変わらずに私たちの目に届くからです。
月がオレンジっぽく見えるとき
月は低いところでは赤やオレンジ色、高くなるにつれて黄色っぽくなり、やがて白っぽく見えるようになります。
夕焼けが赤く見えるのと同じ原理で、水平線近くにある時は、月の光が地球の大気を斜めに長い距離通過するため、青い光が空気中の粒子に散乱されて届きにくくなる一方で、赤やオレンジの光は散乱されにくく、赤く見えます。
大気の状態でも色が変わる
大気中の水蒸気や塵などによっても色が変わって見えます。
- 空気が澄んでいる日 → 白っぽく
- 湿度が高い日 → オレンジや赤っぽく見える
時間帯や天気によって変わる月の色を記録するのも楽しいかもしれませんね。
十五夜の伝統を楽しもう
お月見団子で「数」のお勉強
十五夜では、15個のお団子をお供えします。また、1年の満月の数にあわせて12個(閏年には13個)、15を簡略して5個にする場合もあるそうです。
■15個の場合
1段目に9個(3×3)、2段目に4個(2×2)、3段目に2個を飾るそうです。3段目の2個は、神事では正面からみて縦に2個並べます。横に2個並べると仏事になってしまうそうですから要注意!
ちなみに我が家では厳格には行わず、好きなようにさせています。4人で分けるにはどうしたらいいかな?余った1つはどうする?と言ったお話をし、数の概念と優しい気持ちを学べたらなと思っています。
お月見は秋がいい理由3つ
秋はお月見にぴったり。
① 日が暮れても快適な陽気
② 月の出時刻がちょうどいい(夏は遅く、冬は早い)
東京 16 時 41 分、広島 17 時 11 分
③ 見やすい高さに月が昇る(夏は低い位置、冬は高い位置)
おすすめ絵本
0〜1歳の時に大好きで何度も読んだ本がこちら。
「おつきさま こんばんは」
何度も読んでいるうちに、次のページの展開を覚えて、雲がお月様を隠しそうになると、「ダメダメ」と言うようになって、可愛らしかったです。
皆さまも、ぜひお子様とお月見を楽しんでください。
関口奈美 気象予報士・二児の母 「科学の目で見る美しさも、心で感じる美しさも、どちらも大切に」をモットーに、子どもたちの好奇心を育てる日々を綴っています。

